Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIIA




「潮富根(しおふね)観音寺へ行っていたんです」


 みのりは、居住まいを正し応える麻里の言葉に首をかしげる。


「潮富根観音寺? そこで何か見つかりましたか?」


 大きな雪姫の観音像が設置されている場所だ。

きっと何かあったに違いない。

みのりは確信にも近いものを感じながら麻里の返答を待つ。

しかし、彼女が話す前に太一が割って入ってきた。


「リオとリオのおじいちゃんに手伝ってもらったんだよ」


 太一が嬉しげに話す。


(獣人である彼らが、人間の太一君たちを助けるなんてね……)


 獣人たちは自分たち人間に良い感情は抱いていないはずだ。

それなのに、白茶けたいがぐり頭の上に小さなモモンガを乗せた

ずんぐりとした老人がこちらへ向けてきた視線には、

嫌悪感などはなかったように思えた。

みのりが太一たちを送ってきた獣人のことを思い浮かべていると、

麻里が紙を取り出しこちらへ差し出してくる。


「そういえば、こんな地図でした。

ええっと、リオ君のおじいさんは八蜘蛛(やくも)神社へ

向かう地図とか言ってましたけど」

「拝見します……おや、これは」


 名刺交換でもするかのように麻里から紙を受け取ると、

碧は驚いた様子で目を丸くした。










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