Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIIA
「潮富根(しおふね)観音寺へ行っていたんです」
みのりは、居住まいを正し応える麻里の言葉に首をかしげる。
「潮富根観音寺? そこで何か見つかりましたか?」
大きな雪姫の観音像が設置されている場所だ。
きっと何かあったに違いない。
みのりは確信にも近いものを感じながら麻里の返答を待つ。
しかし、彼女が話す前に太一が割って入ってきた。
「リオとリオのおじいちゃんに手伝ってもらったんだよ」
太一が嬉しげに話す。
(獣人である彼らが、人間の太一君たちを助けるなんてね……)
獣人たちは自分たち人間に良い感情は抱いていないはずだ。
それなのに、白茶けたいがぐり頭の上に小さなモモンガを乗せた
ずんぐりとした老人がこちらへ向けてきた視線には、
嫌悪感などはなかったように思えた。
みのりが太一たちを送ってきた獣人のことを思い浮かべていると、
麻里が紙を取り出しこちらへ差し出してくる。
「そういえば、こんな地図でした。
ええっと、リオ君のおじいさんは八蜘蛛(やくも)神社へ
向かう地図とか言ってましたけど」
「拝見します……おや、これは」
名刺交換でもするかのように麻里から紙を受け取ると、
碧は驚いた様子で目を丸くした。
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