Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIII@
「だから、君が興奮してるからだろう?
だいたい獣人が悪いわけじゃなくても、
少なくとも獣人にも悪い奴がいるのは事実なんだから。
用心するに越したことはないじゃないか」
諭すように正論を話す涼介に、みのりは眉間に皺を寄せる。
「興奮なんてしてるわけないじゃない。
私は冷静よ。それにあんたに言われなくたってわかってるわよ。
さっきの話聞いてたの? あのときだってそうだったわ、
人の話を碌に聞かずに無視し続けて石を投げてばかりだったわよね!」
初めて会ったあの川べりでのことがよみがえり、声が荒くなった。
親族会議について行ったあの日。
大人たちの難しい話を聞いているだけの時間は、
幼かった自分にはひどく退屈なものだった。
だから両親の眼を盗んで外へ飛び出したのだ。
始めは冒険気分で弾んでいた心も、
人の気配がないことの心細さからすぐに消えてしまった。
そんなときだ。川べりで遊んでいる涼介を見つけたのは……。
それまで自分と同じくらいの年の子供と会ったことがなかったため、
最初はどう声をかけていいのか悩んだことを今でも覚えている。
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