Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIIIA




(それなのにあの男は!)


 人が勇気を出して声をかけたにも関わらず、

応えることもなく石を投げ続けたのである。

そのあともしつこく声をかけ続け、

やっとこちらへ視線を向けたときの涼介のつまらなそうな顔が

とても印象的だった。


(あのとき文句の一言でも言ってやろうと思ったんだけど

やめたのよね、たしか)


 みのりが当時の記憶を呼び起こしていると、

涼介が攻め寄ってくる。


「聞いてたよ!

だから何度もせがむ君のリクエストに答えて

投げてやってたんじゃないか!」

「せがんでなんかいませんでしたー。

私がしょうがないから付き合ってあげたんですー」


 反射的に否定の言葉を口にする。

実際は涼介の言うとおりだったが、それを素直に認めたくはなかった。

しかしそれが涼介に癪に障ったようだ。

こちらを挑発してくるかのように、

眉間に皺を寄せながら皮肉気にあざ笑った。


「は! これだから我が儘お嬢様は!

俺に碌な大人にならないとか散々なこと言って逃げるくらいしか

能がないんだよ!」

「ねえ、おじちゃんとみのり様が喧嘩してたんじゃないの?」

「そうだったはずなんだけど……ね」


 背後から囁くような太一と律子の会話が聞こえてくる。

だが、みのりはそれに応えるよりも前に、

涼介から売られた喧嘩を買うことに決めた。










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