Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIIIC
「やあ、小越君!」
「室……じゃなかった! 高松さん」
「遅いから迎えにきたよ。今日も色々と視察して回らないとならないからね」
「誰?」
怪訝な顔をするみのりを前に眼鏡をかけた細身の男が、
柔和な笑みを浮かべる。
それは自分の兄、雅秋のそれと似ていて、
油断ならない、と涼介は小さく拳を握った。
「お初にお目にかかります、梅宮みのり様。私こういう者です」
男が名刺を渡しながらみのりへお辞儀をする。
みのりは不審げな面持ちで名刺を受け取り名刺をじっくりと見つめた。
「おや、こんなところで君に会えるとは……。お久しぶりですね」
唐突に碧が片手をあげる。
(知り合いだったのか?)
眉根を寄せて見守っていると、男が爽やかな笑顔で碧に応えた。
「やあ、君もいたのか。久しぶりだね」
「もう黄梅には戻ってこないと思っていたのですがね。
ところで小越先生とずいぶん親しいようですね」
柔らかな口調ながら嫌味の篭った碧の言葉に、
涼介は皺の寄った眉間へさらに皺を寄せる。
(やっぱりこの人油断ならないってことか……)
警戒してさりげなく反撃の準備をしていると、悟がくすりと肩を竦めた。
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