Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIIID
「都の教育委員から来てるんだよ。
黄梅学園のほうから小越君を案内役に紹介されてね」
銀縁の眼鏡をかけた男の言葉にみのりが目をしばたたかせる。
「学園に都の教育委員会が関わっているの? お母様にしては珍しい行動ね」
本気で首をかしげているみのりを見て、涼介は目を見開いた。
(彼女が知らないってことは美都子さんは関わってないってことか?)
それとも梅八家のバランスが崩れかけている、とでもいうのだろうか。
顎に手をあて考え込んでいると、斜め横から声がする。
「それだけの関係には見えませんがね」
軽く鼻を鳴らす碧に男が口を開こうとする。
だが、それより先に男の隣にいた小越が声をあげた。
「そ、それはつまりですね……」
言い訳がましくあたふたと言葉を紡ぎだした小越に注目していると、
ふいに辺りへ黄色い線香が走った。
次の瞬間、けたたましい音と煙に包まれる。
「きゃあ!」
「お嬢さま!」
「うわ!」
「ぐ!」
もうもうと目の前に広がっていく白い煙と火薬の臭いに急いで口を塞ぐと、
切羽詰まったような碧の声が聞こえていた。
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