Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIIIE
「お嬢様、敵です。皆さんひとまず逃げてください!」
涼介は碧の言葉に頷く。
「わかりました! 太一君! こっちへ!」
かろうじて目に映った太一を呼び寄せると、
太一が怯えきった様子で辺りを見回した。
「え、え、え」
混乱しておろおろとした様子の太一を野木崎が呼び寄せる。
「太一君、こっちへいらっしゃい!」
涼介は慌てて手を伸ばそうとするが、先に野木崎の手が太一を掴んだ。
「こんちくしょー!」
忌々しげな声で唸る山波の声が聞こえ、
先刻の男の鬼気迫る声が飛んできた。
「麻里君はこっちへ! 早く!」
「はい!」
慌しい足音が遠ざかっていくのと同時にみのりが厳しい声をあげる。
「山波さん、危ないから手は出さないで!」
「は! ははははは、はい!」
電流が走ったかのようなその声に山波が声を上ずらせた。
(ちくしょう! みのりさん! みんな、無事でいてくれよ!)
瞳の端に野木崎と太一の姿が映る。
涼介はみのりを想い唇を噛み締めると、走る野木崎たちの後を追った。
第三章 了
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