Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IH




(何か弱みとか握られてるのかしら?)


 きっと海千山千の女将なのだろう。

下手に踏み込んで彼女に興味を持たれでもしたら

面倒なことになるに違いない。触らぬ神に祟りなしだ。

女将への対応は碧に任せてしまおう。

早々に結論つけ、ちらりと彼女へ視線を向ける。

こちらを見ていた女将と目が合った。


「申し訳ございません。みのり様」

「え、いいのよ」


 流れるような動作で頭を下げられ焦る。

まさか聞かれているとは思わなかった。

しかし、彼女にはそれすら想定内だったのだろう。

口元を隠すように手を添えると目尻を下げ笑い出した。


「おほほほ」


 すべてをお見通しだと言わんばかりの笑い声に、

みのりは頬を引き攣らせる。


(もしかしてもう手遅れだったりして?)


 いや、そんなはずはない。

今日初めて会った人間に興味を抱くなど、自分の考えすぎだ。

そう思い込もうとするが、

女将のこちらへ向けてくる眼差しがそれを許してくれない。

みのりは顔を強張らせながら彼女へ笑みを返す。

すると飛田がおずおずと右手を挙手してきた。










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