Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
II
「あのー、さっきも言ったんですけど、僕と芽衣子ちゃんはここで」
考えに没頭していて気づかなかった。
だが、他の面々も同じようだ。
涼介などは気まずそうに飛田から視線を外している。
そんな中、山波だけは違った。
娘婿になる人に遠慮などないのかもしれない。
平然とした様子で返答していた。
「おう。また帰りに呼ぶからよろしくな」
「もう、お父さんってば!」
飛田に対する父親の態度に憤慨したのか、
芽衣子がキッと鋭い視線を向ける。
しかしすでにエンジンをかけるため車内へ戻ってしまった
飛田を気にしているのだろう。それ以上は言わず車へ乗り込んだ。
「それならわしらも帰るべーか。またな太一君とお嬢さん。
山波さん、今度は酒でも飲むべ」
太一を連れてきた男がおもむろに口を開く。
芽衣子たちを見送ろうとしていた山波が嬉しげに頷いた。
「あ、はい! ぜひ!」
「ありがとうございました!」
麻里が礼儀正しく頭を下げお礼を言うと、
老人の頭に乗っているモモンガが小さな手を振る。
「キキキ、キーキキ」
またな、とでも言っているのだろうか。
なんとも可愛らしいしぐさにみのりは自然と頬を緩ませた。
「リオのおじいちゃん、ありがとう。リオもまたね」
「里夫君もまたね!」
太一が老人とリオと呼ぶモモンガへ声をかける。
そのあとを麻里の声が続いた。
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