Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
IIB
「まあ、確かに。
あの飛田って獣人さん聞かれたくないことがあったみたいだしね」
誰もいなくなった駐車場を見ながら溜め息を吐いていると、碧の声がした。
「申し訳ありません女将。
せっかくお茶を淹れていただいたのですがご覧のとおりですので……」
落ちついた声音に申し訳なさそうな色を滲ませながら一礼する碧へ、
女将がほほほ、と笑う。
「いいですよ。用意したお菓子が無駄になってしまったのは残念ですけれど」
そんなに意に返していない様子で微笑む女将へ碧も笑む。
「お菓子はあちらのお子さんや食べ盛りの涼介君がいるから大丈夫ですよ」
肩をぽんと叩かれ涼介は目をしばたたいた。
「え? 俺ですか? いや、さすがにお菓子はそんなには……」
それは自分が出されているお菓子を全部たいらげろ、ということだろうか。
(それはないでしょ、碧さん)
眉をさげて碧へ必死に訴えかけるが、碧の微笑がそれを阻む。
「謙遜しなくても大丈夫ですよ。
僕が君くらいのときは食べても食べても満腹になりませんでしたから」
微笑みながら肩に置いた手に力を入れてくる碧を前に、
涼介は頬が引きつるのを感じた。
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