Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
IIC
「え! いや……そんなことは……。はい、食べます……」
涼介の乾いた笑い声が聞こえてくる。
にこやかに笑う碧とは正反対の反応だ。
(有無を言わせないって感じね。ざまーみろだわ。
私の意見にいちいち反論してくるからバチが当たったのよ!)
ことあるごとに上から目線で意見を言ってくる涼介に
一泡吹かせることができ、ほくそ笑む。
本音を言えば自分の口で言い負かせたかったのだが、
それはこの先いくらでも機会があるだろう。
みのりがいい気味だ、と満足気に涼介たちを眺めていると
太一が瞳をキラキラさせ、涼介とこちらを交互に見てきた。
「ねぇ、お兄ちゃん。このお姉さん、みのり様でしょう?
お兄ちゃんの恋人?」
「こ、恋人ー!!」
みのりは太一の言葉にすっとんきょうな声をあげた。
羞恥で顔が熱くなる。
パクパクと口の開閉を繰り返しながら涼介へと視線を向けると、
きょとんとしながらまばたきをしていた。
突如、涼介は太一の言葉を理解したのか、
ぶんぶんと首を横に振り始める。
「へ?! いやいや! ぜんぜん違うよ!」
しかし必死の否定が仇になったのか、
太一はまったく信じていないようだった。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|