Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
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「紅、お待たせ。何か変わったことあった?」
部屋に近づくと、みのりが碧を追い越し部屋へ入った。
よほど紅、という少女と仲がいいのだろう。
涼介は碧のあとに続き部屋へ入ると、紅がみのりを見あげていた。
「お嬢さま……」
困りきったようなその声に眉を寄せていると、
その声にかぶさるように小さな叫びが聞こえてくる。
「氷ー! 氷ー! わらわの氷ーはまだマロかー!!」
すぐさま声のしたほうへ視線を向けると、
雪姫がテーブルの上でジタバタしてるのが目に入った。
「ごめんなさいね、紅一人にしちゃって。大変だったでしょう」
みのりがすまなさげに紅へ近づく。
みのりの言葉に紅が頷き、溜め息とともにテーブルを見た。
「大丈夫です。でも雪姫が……」
涼介は表情は淡々としているが困惑したようすの紅へ口を開きかける。
だが、それは直前で山波の声に遮られた。
「雪姫? ってことは、雪姫様ですか! どこにいらっしゃるんです?」
興奮しきったように辺りを見回す山波に続き、太一がひょっこりと顔をだす。
「雪姫? 雪姫って絵本とかに出てくる雪姫様のこと?」
「やだ。絵本のお姫様が本当にいるわけないじゃないですか」
嬉しげにきょろきょろとする太一へ後から来た小越がくすりと肩を揺らすのを見て、
涼介は面倒なことになったと内心で冷や汗をかいた。
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