Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
E
(どうせこの男も
次期当主としての『梅宮みのり』しかいらないんだわ)
周囲の人間の期待に満ちた視線から逃れるよう被りだした猫は
大いに役に立っている。
同時に、いつしか素の自分を知る人間が側近だけになってしまっていた。
しかし涼介の前ではなぜか、その猫も脱いでしまいがちになる。
何度も被り直しているのだが、
いつの間にか取っ払われ素の自分で応戦しているのだ。
彼はそんな自分を嫌っているのだろう。
(やっぱり結婚相手には素の私を好きになって欲しいわよね)
早々に涼介との見合いを破談させてしまおう。
そしてなんとしてでも黄金梅を実らせ、
黄金梅自体をなくしてしまわねば。
そうすれば運命の、素の自分も受け入れてくれる相手を探しに行ける。
みのりが一人決意を新たにしていると、
机で雪姫を観察していた太一が雪姫へ話しかけていた。
「ねー、なんで泣いてるの?」
太一がいまだに濡らし続けている雪姫の頬を一指し指でつんつん突つく。
みのりは少年の行動にぎょっとした。
しかし、それが良かったようだ。雪姫の涙が止まり始めた。
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