Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
F
「わら、わは氷を所望してるのにック。氷がこないマロ」
雪姫が横隔膜を震わせながら、なんとか太一の疑問に応える。
だが、まだ小学生の太一には難しかったみたいだ。
「所望? 所望ってなーに? お兄ちゃん」
首をかしげる太一へ、涼介は事もなげに返答する。
「所望っていうのは『ほしい』ってことだよ」
「じゃぁ、雪姫様は氷が欲しいんだね」
太一は、涼介の言葉に瞳を輝かせた。
涼介のどこにそんな要素があるのかまったくわからないが、
なぜこの少年は涼介へ対して全幅の信頼を寄せているのだろう。
そんなに深い付き合いなのだろうか。
(そういえば涼介も碧にあんな視線を向けてるわよね?)
仕事面だけ言えば完璧と言える男ではあるが、
性格を知ってしまえば決して尊敬できるような人物ではない。
その側近に涼介が向ける眼差しは、
太一が涼介へ向けているものとなんら変わらない気がする。
男性というのはそういうものなのだろうか。
女の身である自分には理解できない価値観があるのかもしれない。
(でも絶対騙されているわよね)
しかし、それを彼らへ告げたところで
素直に受け入れられることはないのだろう。
それだけは断言できる気がした。
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