Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




H




(頼んでる? どこがよ。人に頼む態度じゃないじゃない)


 こちらが助けを求めるときは何もしないくせに、

自分が困ると早々に白旗を上げてくる涼介の態度に

こめかみがピクリと脈打つ。

聞こえなかったふりでもして無視をしてしまおうか。

そんな性格の悪いことを実行したくなった。


(でも実際問題、頼まれたところで

雪姫をなだめる方法なんてわからないのよねー)


 これまでも彼女の気を少しでも紛らわせようと、

話しかけてみたり遊んでみたりと色々なことを試したのだ。

それでも一定の時間をすぎると、思い出したかのように

『氷』の言葉を口にして泣き始める。

そして最後には疲れて眠るといったことを繰り返していた。

山波たちを迎えに行ったときは、

ちょうど疲れて眠ってしまったときだったのだ。


「涼介! わらわの氷はまだマロか?」


 雪姫が何も言ってこない涼介へ業を煮やしたのか、再び癇癪を起す。


「あーはいはい。もう少し待っていてください。

きっと氷を持ってきますから」


 涼介が降参と言わんばかりに両手をあげ、

心底困ったというように眉をさげた。










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