Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
C
山波から知人が連れ去られた聞き
こちらへ来るように言ってから十数分経つ。
部屋で待てばいいものを、
昨日から一緒に行動するはめになった
梅畑涼介のせいで外で出迎えるはめになってしまった。
無言の空間に耐えきれず言葉を発するが、
出てくるのはなぜか反抗的な言葉ばかりで。
みのりは内心で首を傾げた。
(なんでこいつといると普通の会話ができないのかしら?)
家出中というイレギュラーな状況に
感情がコントロールできていないのかもしれない。
現に今だって日がどんどん傾き、やきもきしているくらいだ。
みのりはそう結論つけ、腕を組みふぅーと深く息を吐き出した。
そこへ1台の軽トラックが入ってくる。
みのりはやっと来た待ち人に、
背後から聞こえてくる涼介の声を無視し駆け寄った。
「おい、角! もっと丁寧にとめやがれ!」
「す、すみません! すみません!」
車から初老の男、山波が恫喝しながら出てくる。
その声にひどく恐縮した様子で運転席から出てきた
鹿の獣人である飛田が頭をさげていた。
傍らには彼の恋人で山波の娘、芽衣子が
恋人をいたわりながら父親を睨んでいた。
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