Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
IF
みのりは、算出した答えを披露しようと皆の顔を窺うように見回す。
すると涼介が、俯いている麻里へ覗き込むように
顔をかたむけているのが見えた。
「どうかしたんですか?」
「あ、いえ、なんでもありません」
涼介の視線に麻里は顔をあげるや、慌てた様子で首を横へ振る。
そうですか、と相手を気遣うような涼介の優しい声音に
みのりはぴくりと眉を動かした。
(私と話すときとはずいぶん違うじゃない)
麻里のような人が好みの女性なのだろうか。
なんとなく面白くない気分に駆られ、フンっとそっぽを向く。
今まで黙って話を聞いていた碧がおもむろに口を開いた。
「野木崎さんを連れ去ったのは黒い服を着た男たちだったのですか?
獣人ではなく?」
「はい、獣人ではありませんでした」
山波が碧の質問に硬い表情のまま頷く。
みのりはその会話に血の気が引いていく感じがした。
(そうだった。妨害してきたのは獣人だったけど
野木崎さんを連れ去ったのが獣人だとは言ってなかったわ)
先に言われた獣人という言葉に気を取られ過ぎてしまっていたらしい。
碧が指摘するまで連れ去った者が人間だということを失念していた。
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