Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
II@
「女将よろしいんですか?」
ずいぶん用心深げな様子で尋ねる碧へ女将が笑みを深くする。
「何がでございましょう?」
質問を質問で返す女将へ碧が珍しく眉間に皺を寄せた。
「もちろんその情報ですよ。よろしかったんですか? 言ってしまわれて」
非難げな言葉に対し、女将がくすりと口に手をあてる。
「まあ、なんとかなりますでしょ。
あんなお小さい方が健気にご友人を心配なさっているのですから、
やはり大人として約束は守らなくては。ねえ、みのり様?」
向かいのみのりへ視線を送る女将の問いに、みのりが同意する。
「そうよ。碧、余計なこと言わないで!」
碧へきつい言葉をかけるみのりの態度に涼介は眉根を寄せた。
(なんでこの子は彼に対してこんなにきつい応対ばかりするんだ)
一言文句を言ってやろうと思っているところに、ふと閃くことがあった。
(ああ、なんだ。そういうことか……)
おそらくみのりは碧のことが好きなのだろう。
(身分違いの恋かあ、難関だよなあ……)
一度気づいてしまえばなんのことはない。
キツイ態度もすべてが自分の好意の裏返しだと思えばかわいいものだ。
(辛いんだろうなあ)
なんせ身分違いの恋だし、それに肝心の碧にその心が届いているかも不明だ。
(結構お似合いだし、上手くいけばいいんだけどな)
そこまで考えたとき、ふいに胸の奥がちくりと痛んだ。
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