Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
IIA
(とりあえず、早いところ見合いを破談にしてあげなくっちゃな)
深く吐息していると、女将がそれに、と口を開く。
「私はただ『梅の宿にいらっしゃっる変わったお客様のお話』をしただけですから」
悪戯っぽい瞳で全員を見渡す女将の言葉を受け、碧が苦笑した。
「はいはい、わかりましたよお嬢様。それにしてもさすがは女将ですね。
みのりお嬢様を味方につけるだなんて」
呆れ半分といった調子で肩を竦める碧へ女将が艶然とした笑みで応える。
「お褒めにあずかり光栄ですわ」
心底楽しげなその表情を碧がひたと見据えた。
「褒めていませんよ。ですがお礼は言わせていただきます」
一礼する碧へ向かい、女将が目を細める。
「まあ、では次の接待の際にもぜひ当旅館にてお願いできますかしら?」
「女将にはかないませんね。
それで貸し借りはなしということでよろしいですか?」
「ありがとうございます」
優雅にお辞儀する女将を前に吐息する碧を見て、
涼介はやっと事情を理解した。
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