Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
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みのりは、部屋から出て行った太一が戻ってくるや、
すぐさま碧を見た。
「早く梅の宿に囚われてる女性を助けに行きましょう!
碧! 車を用意してちょうだい!」
勢いよく机に手をあて立ち上がり、にこりと笑みを浮かべる。
しかし、意気込むこちらの出鼻をくじくかのように
側近が待ったをかけた。
「お嬢様、申し訳ありませんがそれはできかねます」
「なっ、どうしてよ!」
思いもよらない言葉にみのりは目を剥く。
問い詰めようと碧へ駆け寄ろうとする前に、
紅の鈴の音のような声が聞こえてきた。
「車、小さい。人、たくさん」
「みんな乗れないんじゃないかい?」
紅の言葉を説明するかのようにあとへ続いた涼介の声に、
みのりは碧へと向かおうとしていた足を止める。
確かに彼の言うとおりだ。
自分たちだけで律子を助けに行くのならば問題はない。
だが、雪姫の存在を知られてしまった今、太一や山波、麻里たちを
置いて律子を助けに行くという選択肢は考えられなかった。
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