Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
B
女将と碧の話をやきもきしながら見守っている傍らで、
涼介が心配そうな太一をなだめている声が聞こえてくる。
「大丈夫だよ。今車を借りるところだからね」
「女将さんが車を貸してくるの?」
「うん。そうだよ」
女将たちの会話の邪魔にならないようにするためか、
ぼそぼそとした小さな声だ。
みのりが聞き耳を立て集中している間にも、
女将と碧たちの話は続いていた。
「ですから、もちろん……お分かりですわよね?」
「ふふふ。女将には叶いませんね。
ではお言葉に甘えさせていだきましょう」
「ありがとうございます」
何かよからぬことを話し合っているのか、
いつの間にか彼女たちの話し声も聞き取れないほどの大きさになっている。
微かに聞こえてくる碧の笑い声にみのりは身震いした。
(時代劇の悪代官とその手下みたいな関係に見えるわ)
自分では太刀打ちできそうもないからと言って
側近に対応を任せてしまったのはまずかったかもしれない。
みのりは、にやりと口元だけで笑みを作っている碧たちの間に、
何も気づいていないふうを装いながら割って入ることにした。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|