Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
C
「ちょっと碧、女将と何話してるのよ!
車を借りられたんだから行くわよ!」
「はいはい、わかりましたよお嬢様。
では女将、さっそくですがお車の用意をお願いできますか?」
やれやれと言わんばかりの態度で返してくる碧にみのりは安堵する。
(良かった。なんとか女将との会話を止められたわね)
あのまま彼女と話を続けていたらどんな悪だくみを企てるか。
想像するだけでもぞっとする。
自分に害がないと信じたいが、あの側近のことだ。
最小限でことが済むのなら少しくらいは目を瞑りかねない。
容易に想像できる側近の行動に頬を引き攣らせていると、
女将がうやうやしくお辞儀をしていた。
「かしこまりました」
女将を先頭に部屋から出る。
歩く道すがら彼女は、廊下で仕事をしていた従業員を呼びつけた。
「ちょっと、あなたたち……」
指示された一人の従業員が女将の言葉に頷き、
ちらりとこちらを見てくる。
みのりが軽く会釈すると、深々と頭を下げ走り出した。
きっと車の用意を頼んだのだろう。
彼の背を追うように、みのりたちも歩を進めた。
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