Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
E
碧が女将から鍵を受け取っているのを見ていると、
太一が目を輝かせて白いハイエースを見回す。
「うわー、僕の家の車よりも大きい!」
感嘆の声をあげる太一へ山波が同意する。
「坊主もか。俺も初めてだ」
「おじちゃんもなの? 一緒だね!」
「だな!」
何やら分かり合っているらしい2人が微笑み合っているのを、
涼介は何とはなしに眺めた。
何故だか胸が締め付けられる思いに駆られる。
(ちょっとうらやましい……のか?)
子供らしい太一と善郎がやけに眩しく映る。
(今更未来に期待するなんて馬鹿げてる)
そんなことはとっくに諦めたはずだ。
それなのに、ここに集められた面々を見ていると、
凍っているはずの心が音をたてる。
(いいかげんしろ、俺……)
整理できない感情に慌ててかぶりを振っていると、碧の声がした。
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