Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
I
(おいおいおい。なんでそんなふうに勘違いするんだ?)
みのりの想い人に聴かれてしまったらどうするのだ。
涼介はちらりと外の碧へ視線を送るが、
碧は紅に何かを言っているようでこちらを見てはいない。
とりあえずはセーフだ。
胸を撫でおろしていると、みのりが小さく叫んだ。
「なっ、何を言うの? そんなこと絶対ないわよ!
危ないし、君がそこに座ってて」
あまりに驚いたのか声が裏返っている。
(今一番勘違いされたくない人間だろうしなあ)
少しばかり苦い想いを抱えながら涼介は口を開いた。
「そ、そうだよ。びっくりさせないでくれよ、太一君」
援護のつもりで言葉を紡ぐが、
自分も思った以上に声がひっくり返ってしまう。
(ヤバッ……)
これでは逆に何かあると勘違いされてしまう。
胸の内で冷や汗をかいていると、太一が首をかしげる。
「えー? ぼくびっくりさせるようなこと言ったかなー?」
前に座ってる山波へ向かって尋ねる太一を見ながら、
これはなかなかマズイことになっってきた、と涼介は下唇を噛んだ。
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