Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IB




「へ? あーいやいや。あははははは!」


 自分の考えに没頭しすぎていたようだ。

しかも涼介も同じように黙ったままだったらしい。

それが山波には耐えられなかったのだろう。

山波の子供よりも年下とはいえ、黄金梅を守っている梅宮の次代と

その分家である梅畑の息子を相手に礼儀を欠いてしまったとでも

思っているのかもしれない。


(『黄金梅(うめ)の実を守る会』に入ってるって言ってたものね)


 黄梅には黄金梅を守る梅宮を支援するためにいくつか団体がある。

その中でも山波の入っている『黄金梅の実を守る会』は

古参の団体だったはずだ。

何年か前に、昔から梅宮や分家たちを敬い援助してくれている団体に

労いの言葉をかける機会を当主が設けた。

そのときに次代当主として現当主である美都子のそばにいたが、

神でも崇めているかのような眼差しを向けてくる彼らに

違和感を抱いたことを今でも覚えている。

山波はもう少し普通に接してくれてはいるが、

それでも毎回こちらの顔を立てるような態度をとっていた。

きっと静かになった自分たちが怒り出すとでも

思っているのかもしれない。

顔を引き攣らせて笑う山波を申し訳なく思いつつも、

この場をどうやって収めようかと首をひねっていると

天の助けとばかりに太一の無邪気な声が車内に響いた。










一つ前に戻る   GPの部屋に戻る   次を読む





QLOOKアクセス解析