Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IC




「ふーん、大人っていろいろ難しいね」


 さすが、子供というべきか。

周囲の空気など気にしたふうもない太一に、

山波が嬉々とした表情で返事をする。


「ああ、そうだぞ。坊主。いい勉強になったな」


 大げさなまでに笑う山波の手が無遠慮に太一の頭を撫でる。

痛いよ、と言いながらも嬉しそうに笑う少年を微笑ましく眺めた。


「さあ、小越先生も早く乗ってください」


 いつの間に運転席から降りていたのだろうか。

碧が外へ出て、中々乗り込んでこない麻里へ声をかけていた。


「あ、はい。し、失礼します……」


 何をやっていたのだろうか。

みのりは、今頃になって慌てた様子で乗ってくる麻里を

訝しく思った。

しかしそれを彼女へ問う前に、太一の明るい声が遮る。


「お姉さんはおじちゃんの隣ね」

「ありがとう」


 麻里が、山波の隣の背もたれを叩いている太一へ

微笑みながら座った。










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