Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
ID
「それでは閉めますよ」
碧は立っていた太一が椅子へ座ったのを確認し、扉を閉める。
そして車へ乗り込み、助手席の窓を開けた。
「それでは女将ありがとうございます」
「いってらっしゃいませ」
女将が従業員とともに深く頭をさげる。同時に車が動き出した。
「女将さんまたねー」
太一が後部座席の窓は開いていないため聞こえるはずもないのに、
大きな声をあげながら手を振る。
みのりは、ニコリと笑いながら手を振り返す女将へ
座ったまま会釈をした。
「お気をつけて」
女将の声は聞こえなかったが、
口の動きがこちらの安否を願う言葉だと教えてくれる。
みのりはこくりと首を縦に振ることで、
野木崎律子という女性を救い出し、
再びここへ戻ってくると誓った。
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