Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




II




「太一君の目の錯覚よ」

 少年の言うとおりだったならばこちらを一切見ることもなく、

俯いたままぶつぶつ言うはずがない。

みのりは、涼介へ胡乱な眼差しを送った。


(何よ、ちょっと喜んじゃった自分がバカみたいじゃない)


 ふんっ、と涼介が視界に入らないようにそっぽを向く。


(だいたいなんで涼介に心配されたからって嬉しいなんて

思っちゃうのよ!)


 あんな癪に触るようなことしか言わない男の言動など気にする

必要はないはずだ。

それなのに太一の言葉を一瞬でも真に受けてしまうなんて。

それにしても太一はなぜあんな勘違いするのだろう。

ことあるごとに自分と涼介をくっつけようとしている気がして

しかたがない。


(もしかして太一にからかわれてるのかしら?)


 そんなふうには見えないが、見えていないだけかもしれない。

それにこの中で小学生は太一一人だ。

周囲にいるのはみんな年上の大人ばかりだというのに

彼は物怖じすらしていない。

みのりはシートベルトをぎゅっと握り締めまがら、

悶々と涼介と自分の間に座っている太一を眺めた。










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