Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




II@




 みのりが脳内を悩ましている中、

そんなことなどまったく気にしていない様子の碧が

バックミラー越しに山波たちへ話しかける。


「山波さんと小越先生はよろしいですか?」

「はい、ばっちりですよ」

「だ、大丈夫です」


 山波が得意気に装着したシートベルトをひっぱって見せている。

しかし、麻里のほうは違っていたようだ。

どこか怯えを含んでいるような声音にみのりは同情した。


(人に追われる経験なんてなさそうだものね)


 小越麻里とは、わざわざ東郷都から黄梅市に入市してきた

酔狂な人だ。それでも一般人である。

少し特殊な家を持つ自分ですら家出するまでこんな経験は

持っていなかったくらいだ。

それがこちらと合流したとたんに狙っていたかのように

追いかけられるのだから、恐怖を抱いても仕方がないだろう。


(碧や紅には感謝してもしきれないわ)


 彼らがいてくれるからこそ自分は今まで平穏に生活できていたに

違いない。

みのりは、なんでもないことのように片時も離れず傍にいてくれる

側近たちへ心の中で礼を言った。










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