Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
III
「それはないでしょう。
本家の方々なら飛び道具は出てこないでしょうしね」
碧の言葉にみのりは目を見開く。
(え? 今の追っ手は本家の人間じゃないの?)
次期当主としての自分の存在すら必要なくなったと判断した母親が
仕掛けてきたとばかり思っていた。
あの追っ手たちが本家ではないとしたら、
それはまだ母親に求められているということなのだろうか。
導き出した結論に自然と口元が緩む。
みのりは場の空気にそぐわない自分の表情を戒めるため、
必死で唇を引き結んだ。
しかしそこへ、涼介が納得いかないと言わんばかりに碧へ意見する。
「そうでしょうか……」
本家でも飛び道具くらいは出すのでは、と
疑いかかっているような涼介のセリフに消沈する。
それは気分がよくなったこちらへ冷水を浴びせるような言葉だった。
しかし涼介の気持ちはわかる。
自分だってあの追っ手が本家の人間だと疑っていたくらいだ。
それでも碧の意見に縋りつきたかった。
親にすら必要とされていない人間なのだと思いたくなかった。
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