Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
III@
みのりが俯き押し黙っていると、ふいに麻里の声が聞こえてくる。
「あ、もしかして……!」
「心当たりがあるんですか?」
本家以外の追っ手がいることを期待し、
藁にもすがる思いで顔をあげる。
「あ、いえ、なんでもないんです……。すみません……」
しかし何か言おうとした麻里だったが、
彼女はそのまま首を激しく横へ振った。
言いにくいことだったのだろうか。
結局、追っ手が誰だったのかわからずじまいだ。
それでもまだ本家の人間だと決まったわけではない。
たとえ黒いに近い灰色だとしても。
みのりは気を取り直すように、
静まりかえった車内でひときわ明るい声を発した。
「そんなことより今のうちに私たちも『梅の宿』へ向かいましょう」
「そうですね。また戻ってこられる前にさっさと向かいましょうか。
お手数ですがシートベルトはそのまま締めておいてくださいね」
黄金梅を実らせるために色々なことが起き始めてきたが、
今は律子という誘拐された女性を救出することが先だ。
碧がこちらの言葉に便乗しながら、車の速度を少しあげた。
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