Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
IIIA
「は、はい!」
碧の言葉に先ほど追われていたときのことを思い出したのか、
麻里がギュッとシートベルトを握りしめる。
その傍らで山波が残念そうに持っていたドライバーをもとへ戻した。
「こいつの出番がなくなっちまったなあ」
しかし、今まで何もしゃべらなかった太一が
それを阻むかのように提案してきた。
「おじちゃん、また何かあるかもしれないから護身用に持っててよ」
「お? おう!」
太一は小学生の割には機転が利くのかもしれない。
みのりが内心で感心していると、山波がなるほどな、と言わんばかりに
もう一度ドライバーを手に持った。そこへすかさず碧が言葉を挟む。
「あとで車を返すときには戻しておいてくださいね」
「はあ、すいません……」
「いえいえ、構いませんよ」
碧は、恐縮するように頭を撫でつける山波へ、
ミラー越しに笑みを浮かべた。
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