Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
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車が停車するとともに始まった涼介たちの会話に、
みのりは静かに耳をかたむけた。
各々が意見を言う中、山波が太一へ勇ましさを見せつける。
それに対抗するかのように、
麻里が履いていたヒールを手に持ち鼻息を荒くした。
みのりは唖然としながらも、
このままではらちが明かないと思いシートベルトを外し
ドアへ手をかける。
「それじゃ降りましょう。とりあえず私が先に出るわね」
車内であれこれ話し合っているだけでは、
机上の空想と変わらない。まずは外へ出ることが先決だ。
相手が敵なのかどうかは、出てみないことにはわからない。
こちらの取り越し苦労なら問題ないが本当に敵だった場合、
一般人の麻里と老人の山波、
それに小学生の太一の身に何かあっては困る。
(その点私だったら大丈夫よね。一応、護身術は習ってるし。
碧と紅がそばにいてくるんだもの)
みのりは意気揚々と後部ドアへ振れていた手に力を入れる。
「気をつけたほうがいいよ」
扉を開けようとした瞬間もたらされた涼介の言葉がなぜか癪に触り、
みのりは彼をキッと睨みつけた。
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