Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
C
「子供を外にだすのは危ないのでは?」
「だから危ないって。みのりさん」
涼介の声が、背後から聞こえてきた麻里の呟きをかき消す。
「ちょ、ちょっとなんでついてくるのよ。
太一君のそばにいなさいよね!」
まさか太一を置いて車から出てくるとは考えもしなかった。
涼介の行動に驚き振り返る。
「だから、危ないからだろ?」
思いの他近くにあった青年の真剣な顔に、みのりは動揺した。
ぎょっと目を見開いたまま固まっているこちらをよそに、
涼介が車内にいる太一へ話しかける。
「太一君、ちょっとだけ待っててくれるかな?」
「うん。わかったー」
みのりは、太一といつも通り会話する涼介に、
自分だけが動揺しているとわかり羞恥した。
こんな顔誰にも見せたくない。
みのりは熱を持った顔を隠すように俯きながら歩き出す。
「お嬢さま、待って」
助手席に座っていた紅が足音も立てずにそばへやってくる。
だが赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、
みのりは紅の顔を見ることなく先へ進んだ。
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