Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




C




「子供を外にだすのは危ないのでは?」

「だから危ないって。みのりさん」


 涼介の声が、背後から聞こえてきた麻里の呟きをかき消す。


「ちょ、ちょっとなんでついてくるのよ。

太一君のそばにいなさいよね!」


 まさか太一を置いて車から出てくるとは考えもしなかった。

涼介の行動に驚き振り返る。


「だから、危ないからだろ?」


 思いの他近くにあった青年の真剣な顔に、みのりは動揺した。

ぎょっと目を見開いたまま固まっているこちらをよそに、

涼介が車内にいる太一へ話しかける。


「太一君、ちょっとだけ待っててくれるかな?」

「うん。わかったー」


 みのりは、太一といつも通り会話する涼介に、

自分だけが動揺しているとわかり羞恥した。

こんな顔誰にも見せたくない。 みのりは熱を持った顔を隠すように俯きながら歩き出す。


「お嬢さま、待って」


 助手席に座っていた紅が足音も立てずにそばへやってくる。

だが赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、

みのりは紅の顔を見ることなく先へ進んだ。










一つ前に戻る   GPの部屋に戻る   次を読む





QLOOKアクセス解析