Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
G
甲高い声で名を呼ばれ、みのりはその発生源へと視線を向ける。
先ほど車内で『女はヒール』と豪語していた麻里が、
自慢の武器を片手にこちらへ近づいてきていた。
(本気でヒールで戦う気だったなんて……)
麻里が去って行った車内から、
太一が必至の形相で手を伸ばしている。
きっと彼女を止めようとして振り切られてしまったのだろう。
声は聞こえないが、
麻里を呼び止める口の動きがはっきりと見てとれた。
(まったく小学生に心配させるなんてどういうつもりかしら)
太一が今にも泣き出してしまいそうなほど眉を下げる。
そして山波へ助けを求めるように彼へ縋りついた。
(山波さんがいてくれてよかったわ)
車の中に小学生一人だけを
置き去りにするようなことになってはたまらない。
みのりは、太一を宥めるように優しく肩を撫でる山波の姿に
ホッとため息をついた。
しかしこちらの安堵もつかの間。
笑顔を取り戻すかと思っていた太一の表情に、
困惑と驚愕入りまじったような顔つきが追加された。
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