Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




G




 甲高い声で名を呼ばれ、みのりはその発生源へと視線を向ける。

先ほど車内で『女はヒール』と豪語していた麻里が、

自慢の武器を片手にこちらへ近づいてきていた。


(本気でヒールで戦う気だったなんて……)


 麻里が去って行った車内から、

太一が必至の形相で手を伸ばしている。

きっと彼女を止めようとして振り切られてしまったのだろう。

声は聞こえないが、

麻里を呼び止める口の動きがはっきりと見てとれた。


(まったく小学生に心配させるなんてどういうつもりかしら)


 太一が今にも泣き出してしまいそうなほど眉を下げる。

そして山波へ助けを求めるように彼へ縋りついた。


(山波さんがいてくれてよかったわ)


 車の中に小学生一人だけを

置き去りにするようなことになってはたまらない。

みのりは、太一を宥めるように優しく肩を撫でる山波の姿に

ホッとため息をついた。

しかしこちらの安堵もつかの間。

笑顔を取り戻すかと思っていた太一の表情に、

困惑と驚愕入りまじったような顔つきが追加された。










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