Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




I@




「うおー!」


 山波が助太刀すると言わんばかりに

3人目の狸と向かい合っていた麻里の隣へ走り寄る。

碧がそれを見て、揶揄するような感想を口にした。


「おやおや、皆さん意外と行動派のようですねっと」


 余裕そうな顔で碧は語尾に合わせるように、狸の腹を蹴る。

その拍子に狸が持っていた銃を落とした。


「うぐっ! お、おのれ!」


 これで武器は使えまい。

だが狸は、腹を抱えよろめきながらも

落とした銃を拾いあげた。


(もう、なんで落としたときに銃を取らないのよ)


 もし発砲した弾が側近へと当たったらと考えるだけで、

ぶるりと体を震わせる。


「お嬢さま、守る。あたしの役目!」


 1人目の狸と対峙している碧を気にかけていると、

紅がこちらを窺ったまま動かないでいた狸へ向かって

タックルをしかけた。

その向こう側では、山波が器用に狸のナイフを

車の中から拝借したドライバーで躱している。


「まだまだ若いもんには負けん!」


 その時だ。狸が銃をこちらへ向け、発砲した。


「きゃー!」

「危ない!」


 耳をつんざくような音と同時に涼介の声が聞こえてくる。

無意識に目をつぶり衝撃から備えるように蹲ると、

大きくて暖かい何かが覆いかぶさってきた。










一つ前に戻る   GPの部屋に戻る   次を読む





QLOOKアクセス解析