Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
I@
「うおー!」
山波が助太刀すると言わんばかりに
3人目の狸と向かい合っていた麻里の隣へ走り寄る。
碧がそれを見て、揶揄するような感想を口にした。
「おやおや、皆さん意外と行動派のようですねっと」
余裕そうな顔で碧は語尾に合わせるように、狸の腹を蹴る。
その拍子に狸が持っていた銃を落とした。
「うぐっ! お、おのれ!」
これで武器は使えまい。
だが狸は、腹を抱えよろめきながらも
落とした銃を拾いあげた。
(もう、なんで落としたときに銃を取らないのよ)
もし発砲した弾が側近へと当たったらと考えるだけで、
ぶるりと体を震わせる。
「お嬢さま、守る。あたしの役目!」
1人目の狸と対峙している碧を気にかけていると、
紅がこちらを窺ったまま動かないでいた狸へ向かって
タックルをしかけた。
その向こう側では、山波が器用に狸のナイフを
車の中から拝借したドライバーで躱している。
「まだまだ若いもんには負けん!」
その時だ。狸が銃をこちらへ向け、発砲した。
「きゃー!」
「危ない!」
耳をつんざくような音と同時に涼介の声が聞こえてくる。
無意識に目をつぶり衝撃から備えるように蹲ると、
大きくて暖かい何かが覆いかぶさってきた。
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