Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
@
それは想定外の襲撃だった。
みのりたちは乗ってきた車を宿へ置いたまま、ひたすら走り逃げ続ける。
どのくらい走っただろうか。
もつれそうになる足を必死に前へ進めていたが、もう体力の限界だ。
徐々に遅くなっていった足は、ついに止まってしまった。
「……はぁ、はぁ、はぁ……な、なんとか撒けたわね……
結局みんなとはぐれちゃったけど大丈夫だったかしら?」
襲ってきた人数が少なかったのか、
散り散りに逃げたおかげで追手がくる気配はない。
みのりは息を切らせながら碧と紅へ視線を向けた。
「小学生の太一君は涼介君の手を取っていたので大丈夫でしょう。
それにあとは大人たちですからね、
敵に捕縛されなければどうとでもなりますよ」
同じ距離を走ってきたはずなのに、なぜ平然としていられるのだろう。
息すら乱れていない碧と紅の姿に釈然としないまま大きく息をはいた。
それを見ていた紅が体調不良だと思ったのかもしれない。
心配気に眉を下げて、こちらを見つめてきた。
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