Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
IC
「そ、それにしてもまだ碧は山波さんとの話が
終わらないのかしら?」
未だ冷めない頬の熱を手で扇ぎながら、碧へ視線を向ける。
「……それでは明日の午前10時頃に果杷駅にある
藤丘のドーナツ屋で待ち合わせするのはどうでしょうか?」
ようやく待ち合わせの時間が決まったようだ。
自分たちが宿泊している場所から歩いて5分もしない場所で
落ち合うことにしたらしい。
「はい。よろしくお願いします。
あ、それとお嬢様の側近として厳しいことを言ってしまいましたが、
お嬢様は山波さんとの口論のことなど気になさっていませんので
ご安心してください」
(そういえば最初は山波さんと言い合っていたんだったわね……)
涼介との口げんかにすっかり忘れていた。
しかし、碧にはすっかり見破られていたようだ。
「ええ。そのあとの涼介君との口論が
いまだに燻ぶっておられるようですよ」
くすりと笑いながらこちらへ目線を向けてくる側近に、ムッとする。
(別に涼介との喧嘩なんて燻ってなんかないわよ。
勝手に決めつけないでほしいわね)
フンと碧から視線を反らすと、
じっとこちらを見ていたらしい紅と目が合った。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|