Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
ID
「……やっぱり、涼介、始末……」
「え? 何? よく聞こえなかったわ」
首を傾げ、紅を見る。
だが、彼女は顔を横へ振るだけで何を言ったのか教えてはくれなかった。
必要なことならば、そのうち言ってくれるだろう。
みのりはそう結論つけ、話を終えた。
「はははは。よろしくお願いします」
碧のほうも区切りがついたのかと思い、視線を向ける。
だが、新たな話題へ移行しただけだったようだ。
「……あ、それと明日は獣人の長老さんのお話も聞きたいのですが、
たしか山波さんはお知り合いだったですよね?」
(碧ってば男のくせに話が長いわよねー。
って長老さんか。すっかり忘れていたわ)
やはり碧に連絡を任せて正解だった。
自分だったら山波と落ち合うことだけ満足して
電話を切っていたに違いない。
(そういえば太一君や先生を送ってくれた人が
長老さんの一人なのよね?)
威厳がある風貌というよりは、ずんぐりとした優しそうな老人だった。
果たして、彼は雪姫に関連のある場所を知っているのだろうか。
(長老って言うくらいだもの。きっと何か知ってるはずよね)
人間に友好的な態度を取っていたから、
協力してくれる可能性は大きい。みのりは期待に胸を躍らせた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|