Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
IF
嵐のような1日だった。
梅宮みのりたちと律子の救出へ向かい宿で一泊したその翌日、
またしても敵の襲撃に会い、散り散りになってしまったのだ。
麻里は高松に手を引かれなんとか逃げたが見つかってしまった。
だが、あわやというところでなんと狼の獣人、満に助けられた。
(あんなところで助けにきてくれるなんて。偶然って不思議なものよね)
麻里は満や高松と分かれ、夕闇迫る駅前の道を歩く。
少し迷ったが行きつけのスーパーへ寄って缶チューハイを買うことにした。
頭の中では別れ際に満から言われた言葉が渦を巻いていた。
『今度会った時は敵同士だ』
そうじゃない。獣人と人は分かり合えるはずだ。
そのためにも早く梅宮みのりをこの黄梅から解放し、
都と黄梅市を合併させなくては。
「見ていてください、満さん!」
なぜそこで満なのか、という疑問は一切浮かんでこなかった。
ただ、彼が苦しげな表情を浮かべると自分まで苦しくなる。
できれば今度会う時は幸せそうに微笑んでほしい。
そう思うと、あんなに不承不承だった黄梅市赴任も、
満更悪くない気がしてきた。
「よし! 頑張らなくっちゃ!」
麻里は手にした鍵をグッと握りしめ、エントランスに差し込んだ。
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