Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
IG
「ただいまーっと!」
玄関を開け荷物を置く。
靴を脱ぎ捨て冷蔵庫へ買ってきた食材を入れ込んだ。
どれもこれも冷凍モノなので、そこまで日付を気にする必要もない。
とりあえず1日の汚れを取り払おうと風呂へ入り、全身を隈なく洗う。
(それにしても、今日の満さんもかっこよかったなあ……)
湯船に浸かりながら夢想に耽る。
キュッと上がった眉と涼しげな目尻。ワイルドな長い髪。
(そう言えば、私ってばまた抱きしめられちゃったんじゃない?)
あの固くて厚い胸板に胸を埋めたことを思い出し、頭が茹で上がる。
(あれ? のぼせちゃったかな?)
そんなことではないことを頭のどこかで理解しながらも、
麻里は自分に自分で言い訳する。
(もう上がろう……)
麻里はパタパタと手で顔を仰いだ後、
風呂釜の縁を握りしめよいせ、と立ちあがった。
(あーさっぱりした)
濡れた髪を拭きながら風呂場をでる。
(さーお楽しみのあれよ、あれ!)
早く冷たいモノを喉へ通したくて冷蔵庫の缶チューハイに手を伸ばした時、
スマホのバイブレーションが鳴った。
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