Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
IH
「もしもし? 小越先生の携帯電話であってますか?」
着信の主は自分の監視対象でもあり、
黄金梅を求める仲間でもある梅宮みのりだった。
「はい。梅宮さん? 何かあったのかしら?」
首をかしげながら携帯越しに問うと、
呆れ返ったような溜め息が聞こえてきた。
「何かあったかしら? じゃないですよ。でも良かった。
元気そうな声で。あのあと無事に逃げられたんですよね?」
少し疲れているようなみのりの声を憐れに思いながら、麻里は肯定する。
「ええ。いろんな人に助けてもらったから。
心配かけてごめんなさいね。みのりさんは大丈夫だった?」
年長者らしく尋ねると、みのりが苦笑ぎみに応じてきた。
「はい。私たちのほうは大丈夫です」
「今日は本当にお疲れ様。大変だったでしょう? ゆっくり休んでね」
ここは先生なのだから、と気持ちを奮い立たせ告げると、
みのりが礼とともに話を転じた。
「ありがとうございます。あ、それでですね、先生明日予定空いてませんか?」
生徒に予定を訊かれるとは思わず、麻里は少々うろたえる。
「ええっと、空けようと思えば空けられるけど……」
まさか自分の目的がバレてしまったのでは、と考え必死で言い訳を考えていると、
みのりがほっと息を吐いてきた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|