Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




II




「良かった。それじゃあ明日、今日話し合った氷に縁のある場所について

もう一度話し合いたいと思うので先生も参加してください」

 話し合いか。

そういえば、今日はみのりと梅畑の三男が朝から派手な喧嘩をやらかしていたっけ。

(何を話すのかわからないけど、私は梅宮さんについているのが第一よね)

 上司の高松から言われていることを何度か反芻して、

麻里は携帯の向こう側へ返答した。

「わかりました。ええっと、どこで待ち合わせなのかしら?」

 自分が方向音痴なのを自覚しているだけに、麻里は心配になった。

どこだかわからなければ辿りつけないかもしれない。

すると、そんなこちらを見越したかのようにみのりが口を開いた。

「そうですね。10時に果杷駅にある藤丘のドーナツ屋さんでどうでしょうか?」

 みのりの言葉に麻里は心底ほっとする。

藤丘ならよく知っているから間違いない。

「わかりました。それじゃあ午前10時にドーナツ屋さんで待ってるわね」

 軽くなった心持ちのまま答えると、みのりも声を若干あげてきた。

「はい。それじゃ先生、また明日」

「ええ。また明日」

 通話を終えると、水滴のついた缶チューハイが座卓の上で待機していた。

「あー飲みたい! でもその前にやることがあるのよね……」

 麻里はふと吐息し、携帯の履歴を辿った。










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