Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
II@
「はい」
携帯越しに聞き慣れた低い声が響いた。
「お疲れ様です、小越です」
姿勢を正して告げると、高松の声音がなぜか和らいだ。
「ああ。今日はとんだ日だったね、麻里君。少しは休めてるのかな?」
砕けた調子で訊いてくる高松に一層緊張して、
麻里は見えない相手に向かい一礼する。
「ありがとうございます。あの、今少しいいですか?
梅宮みのりの動向についてご報告があるんですが……」
ためらいがちに問うと、高松の声が改まる。
「彼女に何かあったのかい?」
「いいえ。実はたった今本人から連絡がありまして。
『もう一度話し合いたいので明日の午前10時に果杷駅にある藤丘の
フードコートで待っている』とのことでした」
事情を一気に説明して反応を待つと、高松が結論を問うてくる。
「そうか。で、君はどうするんだい?」
「一応行くと答えましたが、いかがいたしましょう?」
質問を質問で返してはならないとは思いつつ、麻里は高松の返事を待つ。
また先走って、と怒鳴られることも半分くらい覚悟していると、
何を考えているかよくわからない高松が、またしても予想外の答えをだしてきた。
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