Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
A
道路を渡り、店の前に立つ。
みのりは、鞄を抱えるように持ちながら中身を覗き込んでいる紅へ
声をかけた。
「雪姫の様子はどう? まだ眠っているの?」
紅がこちらの質問に顔をあげ、小さく頷く。
みのりは白い長袖Tシャツを着た彼女の肩へ手を置き、
鞄の中を覗き込んだ。
そこにはすやすやとタオル地のハンカチの中で
寝息を立てている雪姫の姿あった。
「一体いつになったら起きるのかしらね?」
涼介たちと今後について話し合ったときからずっと
眠ったままなのだ。
「……氷、見つけたら?」
「やっぱりそうなるのかしら?」
紅の返答に、雪姫のぷっくりとした白い頬を指先で突きながら
同意する。
充電が切れた機械のようにぱたりと動かなくなった
雪姫に気づいたのは、ホテルについてからだった。
最初は具合が悪いのかと心配したが、
ただ眠っているだけの様子にそのうち起きるだろうと
放置することにしたのだ。
実際問題として人形のような雪姫を医師に診せることはできないし、
診せたとしても雪姫の存在を医師が認識できるとも思えない。
結局、雪姫が起きてくるのを待つしかないという結論に
達したのだった。
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