Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




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「ふふふ。仕方ありませんね。山波さん、おはようございます。

周囲の目もありますのであまり目立つ行為は……」

「は、そうですな! 重ねがさね申し訳ございません……」

「いえいえ、とんでもございません」


 碧の言葉に山波がようやく立ち上がる。

ホッと安堵していると、碧が芽衣子へ視線を向けていた。


「それより本日は車まで用意していただいたようで、

ありがとうございます」

「飛田君に連絡したら連れてってくれるって言ってくれたので

甘えちゃいました」

「ありがとうございます」

「鹿さん、いい人」

 芽衣子へ礼を言うと、紅が降りてきた飛田へ向かって手を振る。


「こんにちは。どうぞ、早く乗ってください」

「飛田さん、今日はよろしくお願いします」

「雪姫様の生まれ変わりなら、

あなたはぼくらにとっても神聖なお方ですから」

「生まれ変わり、ですか……ありがとうございます」


 飛田に悪気がないことはわかっている。

だが、瞳を輝かせながら発せられた彼の言葉が心に小さな切り傷を

作っていく。

人間だろうが獣人だろうが自分を個人として見てくれるものは

いないのかもしれない。

みのりは慣れ親しんだ痛みに気づかない振りをして、

自嘲気味に笑った。










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