Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
E
フードコートの前へ向かうと、もうみんなが集まっているようだった。
急いで駆け寄っているうちに、碧の声が聞こえてくる。
「そうですね」
何がそうなのかはわからないが、どうやら話はまとまってしまったらしい。
(一体何を話しているのかしら?)
走りにくいヒールでダッシュしながら考えていると、紅のか細い声も聞こえた。
「お嬢さま……先生いない」
その呟きに応えるべく、麻里は手を振る。
「遅れました〜!」
必死で声を振り絞ると、碧の片眉が愉快げにあがった。
「おや、噂をすれば、ですね」
必死で腕を振り碧の横へたどり着くと、
思った以上に息があがってしまったことに気づく。
遅れて隣へやってきた高松は涼しい顔で背筋を伸ばした。
「先生、おはようございます。あら? 隣の人はたしか……」
昨日見た人物だと記憶しているのだろう。
戸惑ったように高松を見つめるみのりへ上司を紹介しようと顔を上げるが、
一足先に高松が一歩前へ進みでた。
「高松と申します。高松悟(たかまつさとる)です。みのり様」
綺麗に一礼する高松へ碧が珍しく渋い顔をする。
「なぜ君がここへ?」
高松へ向かい厳しい声で尋ねる碧を前に、高松が微笑んだ。
「いや、ただの視察なんだけど、麻里君がぜひにっていうものだから」
でたらめを言う高松を前に、麻里は内心で目を剥く。
(私そんなこと一言も言ってないわよ!)
胸の内で叫んでいると、みのりがくるりと向きを変えてきた。
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