Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
F
「先生がそう言ったんですか?」
非難げに見据えてくるみのりを前に、
麻里は全力で否定しようとして我に返る。
「え! え? ええっと……」
自分は高松側の人間なのだから本当のことを言うわけにはいかない。
話を合わせなくては。
麻里は小さく吐息して、みのりへ頭をさげた。
「ごめんなさい……。獣人さんたちがいるところも見てみたい
っておっしゃるものだから、つい……」
咄嗟に吐いた嘘はやはりあまりうまくないものだったようで、
碧が腕を組んで探るような視線を向けてきた。
「それはずいぶんと早計でしたね、小越先生」
嘘を見破ろうと瞳の色を深くする碧に耐えられず、麻里は下を向く。
「も……申し訳ございません……。でも、でも室……じゃなかった
高松さんは満さんとも知り合いですから!」
必死で言い訳を試みると、みのりが怪訝そうな声をあげた。
「満さん?」
「獣人の長がたしかそんな名前でしたね」
みのりと碧が「満」の名前に反応する。
(よかった。話が逸れた)
ほっと胸を撫で下ろし、同時に内心で満へ感謝した。
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