Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
G
(また助けてもらっちゃったわ)
今度会えたらこのことについてもちゃんとお礼しよう。
小さく決意しながら、麻里は満のことを説明した。
「え、ええっと、ですから、狼のかっこ……じゃなくて優しい方です!」
きちんと事実を伝えたつもりだったが、
みのりが眉間の皺をますます深くする。
「優しいかどうかは知りませんけど、狼ならやっぱり獣人の長で合っていますね。
まさか先生に獣人の知り合いがいるなんて知りませんでした」
怒るでもなく、ただ意外だったというように目を瞬くみのりへ、
麻里は事情を話す。
「あ、ええっと、前にもちょっと言いましたけど、危ないところを助けていただいたんです」
昨日のことを端的に話すと、車の運転席から素っ頓狂な声が飛んできた。
「満さんが! それはまた……」
くるくるとした目を見開いているのは確か山波の娘の彼氏だったはずだ。
(なんだ。山波さん、やっぱりそんなに獣人のこと嫌いじゃないんじゃない)
ならどうして素直にそう言わないのだろう。
意地を張り続けていると娘に嫌われてしまうだろうに。
(まあ、花嫁の父親って複雑だって言うものね……)
頬に手をあて自身の考えに浸っていると、碧の唸り声が耳に届いた。
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