Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
I@
「そうだ!
野木崎さんを追ってせっかくのヒントをめちゃくちゃに
しやがったんだ!」
肩をいからせながら告げてくる山波を宥めながら
碧が同意する。
「こちら側が把握している長だったら考えられる行動ですね。
その彼が小越さんをね……不可思議なこともあるものですね」
(そうよね。ただの教師でしかも都の人間が
獣人と知り合いになる確率なんて
1割にも満たないんじゃないかしら?)
ましてや相手は獣人の長だと言われている人物だ。
そんな人といったいどこで知り合ったのだろうか。
みのりは、飛び入りで参加することになった
高松と話している麻里をじっと見つめた。
(だいたい、あの男の人はなんなのかしら?
都の教育委員会だって言っていたけど、
そんな人が獣人に会いたいなんて思うの?)
そもそも知り合いが麻里しかいないという中で、
一緒についてこようとなんてするのだろうか。
(それほど獣人に会いたかったとか?)
生真面目で融通のきかなそうな男から想像もつかないが、
案外偏見を持たない柔軟な発想する人間なのかもしれない。
みのり釈然としない気持ちを無理やり納得させながら、
未だに話し込んでいる麻里たちから視線をずらした。
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