Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
IA
「何はともあれ、早く乗ってください」
車の前で各自好きに話し込んでいる状況に
終止符を打ったのは飛田だった。
この中で一番進行役に適さない男から進言されるとは驚きだが、
このような往来で話すべきことでもない。
みのりは早々に、飛田の提案を聞き入れ車へ乗り込んだ。
「そうね。紅、行くわよ」
「はい」
隣に紅を座らせると、碧と山波、麻里と高松という順で
車に乗ってくる。来たとき同様、芽衣子は助手席に座るようだ。
全員が乗り込んだのを確認したのち、
飛田が梅宮本家で雇っている運転手のようにドアを閉めた。
「長老様には連絡を入れておきましたから」
飛田が運主席へ座り、車がゆっくりと走り出す。
「何から何まですみません」
バックミラー越しに見てくる青年へ向かって頭を下げる。
「とんでもない。どうぞくつろいでください、みなさん」
飛田は運転中だというのに首を激しく横に振った。
叫びそうになるのを必死で抑え込んでいると、
真ん中の席に座っている山波が飛田へ指差す。
「おい。ちゃんと案内しろよ?
何かろくでもないことやりやがったらただじゃおかんからな」
「お父さん!」
ドスの利いた声を向ける山波の態度が気に入らなかったようだ。
芽衣子はわざわざ体をひねり、山波を睨みつけた。
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